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13集-作品評13

張國裕選

マスコミのカタカナ攻めに日の本の言葉危ぶむ我ら台湾人    潘達仁

NHKの番組やニュースを見て居ると外来語、謂ゆるカタカナ語がますます多くなって途惑ふ事がよくあります。急いで外来語字典を引いても見当たらないものも多く本当にがっかりします。日本語は世界一優美な言葉だと私は思ひ大事に使って来ました。作者もこんな事にぶつかったのでしょう。日本の文芸界の先達たちがこの点に気づき本来の美しい日本語が永遠に引きつがれるよう主導して頂きたいと希って止みません。


呉戀雲選

白き雲月夜の雲恋の雲歌壇に華やぐ雲の姫たち         曾照烈

歌壇に白雲さん、月雲さんあり、私は恋雲です。雲を見て空しい思ひ、また雲は美しいとよく短歌に詠まれています。父が空しい恋をしたと聞いてをります。私が生まれて「恋雲」と名つけた理由もここにあったと思います。学校の先生方から艶めかしい名前と言われました。作者は歌会の雲を名のる私達三人にユーモアたっぷりに短歌にして詠んで下さいました。思わず微笑んだ一首です。


陳清波選

老いのわれ日本の民と生まれ来て今は国なく短歌のみ有り    陳英侯

日本人として生まれ日本教育を受けた私達です。日本が敗戦と共に中華民国人となりました。台湾の日本語世代は読み書きも、また心に思っていることを素直に表現できるのは日本の言葉です。国連に見離され、台湾独立の夢もはるか、悲哀をしみじみと感じさせられます。国なくも今はただ短歌を詠み己を慰めている作者に同感です

林肇基選

八十われの老いの苦しみ知りてより母を粗末にせしを悔いゆるなり  徐奇璧

この一首を詠んでこんなに感動して瞼が熱くなりました。若かりし頃は母の衰えゆくを知らず、病床の母の許をいろいろな事情で離れがちだった私でした。母はきっとどんなに淋しかったに違いありません。母には済まない気持ちで一杯です。この一首に反省の機会を与えてくれました。

林禎慧選

寄ると見え離りてゆける浮雲に似るは淋しも人の心に      高寶雪

大空に浮ぶ白い雲或る時は寄り合い瞬く間にまた離れてゆく浮雲を考えれば本当に頼りない人の心に似ています。世間では女心に例えていますが、男心も又然りだと私は思ひます。それが人生です。

黄教子選

朝な夕な祖国の行末祈るてふ彼の頑翁の念ひ愛しも      石瀬俊明

頑翁という言葉は作者の造語と思われますが「頑としてきかぬ一徹な翁」として通じると思います。この一徹な御老人が朝な夕なに念ずるのは祖国の行末ということで非常に愛国者でいらっしゃいます。そのご老人の念いを「愛」と書いて愛しと詠みこんだので、一徹者の翁をとても尊敬していることがわかります。翁の念いが切なくなるほど胸を打つと歌っているわけです。調べも美しいと思ひました。

李英茂選

昼下がり場末の駄菓子屋閑として爺と小猫がこくりこくりと    黄培根

お年寄りのほほえましい場景を描いた良い短歌です。春のぽかぽかした昼下がりでしょうか。小猫がまりの様に丸くなってお爺さんはよだれたらしていませんか。私もTVの前でよくこくりこくりと、TVを見るではなく、TVに見られて居ます。






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